東北復興プロジェクト チェルノブイリ原発事故からの呼びかけと内部被曝

原子力の問題について、前回は主に科学的な側面から現状を確認していきました。

今回は、先生が原子力について書かれてきた御文章を振り返らせて頂き、現在に呼びかけられていることを受けとめたいと思います。

チェルノブイリの原発事故が起きたときに、先生はその問題について書かれていました。

写真は、完全に建屋が吹っ飛んでいる4号炉で、石棺に覆われる前の状態です。福島原発に似ていますね。

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お釈迦様が説かれた八正道について、一つ一つ解釈された人間のまなざしという御著書があります。GLA会員しか買えないのですが、その「正業・はたらきのみち」という本の中に、チェルノブイリ原発が起きた当時の御文章がありました。(今から約25年前の本です)

「先日、ソ連のチェルノブイリ原発事故というショッキングな事故に、私たち人類は遭遇しました。

・・・

地球をわが住処としてから、生きるために、より生きやすくするために、人間は、新たな道具をつくり続け、エネルギーを消費し続ける宿命を背負いました。

・・・

確かに人間は、エネルギーを消費して巨大な物質文明に到達しました。
ところが、今、人は、一体自分たちがつくり出した道具とエネルギーがどんなもので、どのように使うべきなのかさえも分からなくなっているのです。」

一部抜粋させて頂きましたが、今回福島原発について深める中で、改めて過去の先生の御著書を読み返したときに、その深意が感じられてきました。

原子力のことを調べ始めて、人類の存続を脅かすような恐ろしい技術を、技術確立ができていないのに、どうして使うことになったんだろうか?という疑問がありました。

しかし、この御文章を読んで、人類が「生きやすさ」を最優先させてきてしまい、エネルギーがどんなもので、どのように使うべきかも分からないまま、後世にどのような影響を与えるかなど、そこまで深く考えることもなく、目先の快を追求してきてしまったことが分かってきました。

更に続きます。

「未熟な人間がつくり出した未熟な道具の中で生きてゆかねばならない宿命の先端に、その事故が生じたのです。
人間の果てしない好奇心がここまで生活を進歩させました。快適にもなりました。新しい物理学という学問は、どこまでも進み続けてゆきます。
かつて、ウラン235のエネルギーに魅入られて、そしてそれが核兵器へのみちを辿るのに時間はかかりませんでした。恐ろしい怪物を作り上げてしまったのです。物理学者たちの誇った笑顔は、一瞬にして恐怖に凍りついた顔にかわったことでしょう。人づてに聞くところですが、日本のノーベル賞受賞学者であった方も、臨終の枕辺で、自らが選択した学問の責任の重さに深い後悔の念をもたれたそうです。」

未熟な人間がつくり出した未熟な道具とありますが、本当にそうだなと思いました。

最近「想定外」という言葉をよく聞きますが、人間がつくり出す道具において、絶対の安全などありえません。

そして、原子力は未熟な道具で扱うには、リスクが大きすぎます。

また、物理学者の後悔についても書かれていますが、純粋に世界の真実を追究してきた物理学の研究成果が、まさか、そのような怪物を生み出すことになるとは予想できなかったんだと思います。人間が集団となった時に生じる闇の深さについて、改めて考えさせられました。

御文章の後半には、放射能の見えない縁起について書かれており、ガンでなくなったジョンウェインについて書かれていました。

ジョンウエインは、亡くなる25年前に核実験が行われたネバダ砂漠で撮影を行っていたそうなのですが、なんと当時の撮影隊の半数近くがガンを患ったことが明らかになったそうです。

核実験が行われた場所から、風下に200kmの場所であり、空間線量もそれほど高くないので問題ないという判断がされていたようです。

しかし、微量の放射性物質でも体内に取り込まれることで濃縮されていき、数十年後に決定的な影響を与えることになりました。

目に見えない放射線を、食物連鎖の頂点にいる人間が結局は引き受けることになり、結果的には空間線量の100万倍以上も濃縮されるということでした。そして、まだこの世界に生まれてきていない、母体内の子ども達が最も影響を受けることになるそうです。

空間線量が低いからと言って、その影響は過小評価できないことが改めて分かりました。また、自然放射線に対して原発から出てくるセシウム等が本当に恐い理由は、数値は低くても濃縮されて内部被曝を引き起こす点にあることが分かりました。

あらためて放射線の恐ろしさを感じると共に、これから時間を経る中で様々な苦しみが生じてくることになることを思いました。

先生が福島の会員さんと出会われたときに、「皆さんのことを思うと針のむしろです」、とおっしゃられ、何度も福島に行かれているとお聞きしています。

既に25年前にこの文章を書かれていたのですが、きっと誰よりも放射能の恐ろしさをご存じで、これから生じてくる苦しみについても引き受けていらっしゃるんだと思います。

私も本当に微力ではありますが、先生に倣って、これから生じてくる試練も共に背負わせていただきたいという、祈るような思いになりました。

2 thoughts on “東北復興プロジェクト チェルノブイリ原発事故からの呼びかけと内部被曝”

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    ジョンウエインのところで、微量の放射性物質でも体内に取り込まれることで濃縮されていき、数十年後に決定的な影響を与えることになった、とありましたが、福島の一部の人たちはどうやら同じ立場に立たされているようですね。なんとも言い難い困の現実を感じました。また、東京に降下している放射線も、蓄積されやすい人工的な放射線のせいで増加しているそうで。東京にも家族がすんでいるので、何十年か後に放射能の影響が出なければいいが・・・と思いました。

  2. SECRET: 0
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    > ジョンウエインのところで、微量の放射性物質でも体内に取り込まれることで濃縮されていき、数十年後に決定的な影響を与えることになった、とありましたが、福島の一部の人たちはどうやら同じ立場に立たされているようですね。なんとも言い難い困の現実を感じました。

    そうですね、高橋先生も何度も福島に行かれているとお聞きしていますが、これから生じてくる痛み、苦しみも引き受けて、同伴されているんだと感じています。私も、もっと先生に倣っていきたいと思います。

    >また、東京に降下している放射線も、蓄積されやすい人工的な放射線のせいで増加しているそうで。東京にも家族がすんでいるので、何十年か後に放射能の影響が出なければいいが・・・と思いました。

    私も、今回まとめることを通して、人工的な放射線は内部被曝につながるので、自然の放射線に対して少し高いレベルでも、人体への影響は桁違いに高くなることが分かりました。マスコミの報道の仕方もあって放射能について、あまり深く考えていない方も未だに多いので、きちんと現実を如実知見し(観力)、対策していく必要があると感じています。

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